「家庭も仕事も」を叶える法改正がスタート!
2025年4月1日から、育児・介護休業法が改正されました。
共働き世帯や介護を抱える中高年世代にとって、もっと柔軟に働ける制度が整えられたのです。
本記事では、全9つの改正ポイントのうち【1】〜【5】までを、実際の働く人の視点で深掘りしてご紹介します。
目次[表示]
【1】子の看護休暇の対象が拡大|“小1の壁”を乗り越える制度
これまで「子の看護休暇」は小学校に上がる前(就学前)までの子どもが対象でした。
つまり、子どもが小学生になると、急な発熱や学級閉鎖、入学式などで休む必要があっても、有給や欠勤で対応せざるを得ないのが現実でした。

「小学生になったら急に手がかからなくなるわけじゃないのに…」

「学級閉鎖やインフル流行、むしろ小学生の方が多くない?」
そんな働く親たちの声を受けて、今回の法改正では 対象年齢が「小学校3年生修了時まで」に引き上げられました。
項目 | 改正前 | 改正後(2025年4月~) |
対象年齢 | 小学校就学前まで | 小学校3年生まで |
取得理由 | 発熱・病気等のみ | 病気以外にも「学級閉鎖」「行事参加」など含む |
雇用期間条件 | 労使協定で「6か月未満の社員は対象外」にできた | 除外不可に!すべての社員が対象 |
■たとえばこんな場面で役立ちます
- 学級閉鎖で1週間休校に → 看護休暇が使える!
- 卒園式や入学式に参加したい → 正当な理由として休暇が取れる!
- 発熱で呼び出された → 看護休暇で対応可能!
■働く親から見た「小1の壁」に風穴を開ける
「保育園は18時半まで預かってくれたのに、小学校は14時下校」
「学童は空きがなくて入れなかった」
「子どもが一人で留守番してると思うと仕事に集中できない」
これがいわゆる “小1の壁”。
子どもが小学生になると、保育園時代よりもむしろフォローが必要な場面が増えます。でも制度的なサポートは少なくなっていたのが、これまでの日本の働き方でした。
今回の改正は、そんな現実に寄り添った内容。
「小学生の親も“まだまだ大変”なんです」
という声が、ようやく制度に反映されたのです。
■注意点と企業側の対応
- この制度は法律で定められているので、企業が「対象外です」と言うことはできません。
- 社内でのガイドラインや申請方法の見直しが必要です。
- 休暇の取得に対して「遠慮の空気」が出ないように、職場全体での理解と配慮も重要です。
【2】所定外労働(残業)免除の対象拡大|“帰れない問題”に終止符を
これまで「所定外労働の免除」、つまり残業を断る権利があるのは「3歳未満の子どもを育てている社員」に限られていました。
でも今回の法改正で、対象が「小学校就学前の子どもを育てている社員」にまで広がったのです。
どう変わったの?(表で比較)
内容 | 改正前 | 改正後(2025年4月~) |
対象年齢 | 3歳未満の子どもを養育 | 小学校入学前まで(0~6歳) |
効果 | 残業を免除してもらえる(申請制) | 小学校入学前まで(0~6歳) |
残業免除ってどういうこと?
法律では、育児中の社員が申し出れば、企業は「所定外労働(残業)をさせてはいけない」と定めています。
つまり、「今日は残業できません」と正当な理由で断れるのです。
「18時までに保育園へお迎え」「子どもと夕食・お風呂・寝かしつけ」
そんな日常を守るために、この制度は欠かせません。
■改正の背景|“3歳過ぎたら楽になる”って本当?
保育園に通う子どもが3歳を過ぎても、まだまだ親の手は必要。
- お迎えに間に合わない
- 夜の寝かしつけが1時間かかる
- 翌日の準備や連絡帳チェック
- 幼児食の準備、保育園の持ち物チェック
「3歳以上=育児がラクになる」なんて幻想。
それでも、職場で「そろそろ残業してもいいんじゃない?」という無言の圧がある現実…
この状況に対して、「もっと長く残業免除が必要だ」という働く親たちの声がようやく制度に反映されたのが、今回の改正です。
■どんな人が使えるの?
- 小学校入学前(6歳まで)の子どもを育てている社員
- 育児休業を取得していなくてもOK
- パパ・ママどちらでも対象
注意:申請は必須です!
「自動的に残業がなくなる」わけではなく、労働者側が会社に書面で申し出る必要があります。
■よくある誤解
Q.「本人が希望していないのに勝手に免除される?」
→ A. いいえ。申請しなければ適用されません。
Q.「仕事が回らないので残業してと言ったら違法?」
→ A. 申請があれば、企業は残業を命じてはいけません。違反すれば労働基準法違反です。
子どもが小さいうちは「帰れる空気」が大切
「残業できなくてすみません」じゃなくて、
「今は子育てを優先できる社会」へ。
この制度は、その後押しをしてくれる“働く親の味方”です。
【3】短時間勤務の代わりにテレワークが可能に!
これまでは「時短勤務」だけが、育児支援の中心でしたが——
現代はそれだけじゃ足りない!
フルタイム勤務の仕事でも、テレワークで柔軟に働く選択肢が追加されました。
テレワークが有効な例
- 店舗勤務や客先対応など、時短が難しい仕事
- 片道1時間以上の通勤負担がある人
「会社に行く=育児を犠牲にする」時代は、もう終わりです。
【4】育児テレワークは“努力義務”に|企業の姿勢が問われる時代
育児中の社員が在宅勤務などの柔軟な働き方を選べるように、企業に対して環境整備が努力義務として課されます。
◆ 努力義務とは?
- 罰則はないが、社会的責任がある
- 対応していない企業は、採用や社員定着率に影響も…
「テレワーク希望?うちは無理」という企業は、今後ますます選ばれなくなるかも。
【5】育児休業取得率の公表義務が拡大|300人以上の企業も対象に
これまでは、従業員1,000人を超える企業だけが、
「うちの社員がどれくらい育休取っているか」を公表する義務がありました。
2025年4月からは、300人超の企業にも義務化!
■公表内容は?
企業は以下のいずれかを、年に1回ウェブ等で公開:
- 男性育休取得率
- 男性の育児休業+育児目的休暇の取得率
数字が“見える化”されることで、制度だけあっても使えない現状に風穴を開けます。
■企業側に求められること
- 育休取得実績の集計・分析
- ウェブでの公表体制の整備
- 社内文化として「男性も育休取って当たり前」への転換
まとめ|制度だけじゃなく「使いやすさ」が鍵
025年4月の法改正は、制度の整備だけでなく、使いやすい職場づくりが本質です。

「支えあいながら働ける」社会にしていくために、今回の法改正は大きな一歩となるはずです。
次回予告|【6】〜【9】介護編へ続く!
- 【6】介護休暇の対象拡大
- 【7】雇用環境整備の義務化
- 【8】個別周知と意向確認の義務化
- 【9】介護テレワークの努力義務化
介護と仕事の両立が求められる時代。次回もわかりやすく解説します。